2月の法話集 ~自灯明・法灯明~


お釈迦様に関する行事で、以外と知られていないのが涅槃会です。四月八日は花祭りと言ってお釈迦さまのお誕生をお祝いする行事がにぎやかに行われますから知っている人も多いのですが、お亡くなりになった二月十五日の涅槃会のことは、それほどではありません。多くのお寺では、涅槃図と言って、お釈迦さまがクシナーラの沙羅双樹のもとに横になられ、お弟子さんたちとお別れをされている絵図をかけてご供養なされます。お釈迦さまがお亡くなりになることを感じたお弟子のアーナンダは、悲しみのうちに、最後のご説法をお願いしました。お釈迦さまが亡くなられたら、どうすればよいのか、まったく分からないからです。お釈迦さまはかけつけた人たちに最後の説法をなさいました。
「自らを灯明となし、自らをよりどころとして、他人をよりどころとせず、法を灯明となし、法をよりどころとして、他をよりどころとせず、すすめよ。」
つまり“他人に頼るのではなく、良く調えられた自分こそを頼りにしなさい。そして今まで、私が説いて聞かせた真実の道、法をよりどころにするのが良い、あくまで他人を頼ってはならない“と申されたのでした。このことを“自灯明・法灯明”と言って、仏教徒は深く心にきざんでいるのです。 お釈迦さまが亡くなられてから二千五百年以上もたっていますが、自灯明・法灯明の教えは多くのお坊さんや仏教徒の実生活の中で生き続けています。二月十五日は涅槃会です。あらためて、自灯明・法灯明の教えを心でかみしめたく思います。



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