2月の法話集 ~なぜ木魚は魚の形~
お寺には”鳴らしもの”と言って、さまざまな音の出る仏具があります。宗旨や宗派によって違いますが、一般的に身近なものはなんと言っても、木魚でしょう。マンガの一休さんにも出てきて、子どもたちにもおなじみです。ある人が、こんなことを言いました。
「殺生を禁じたり、なまぐさを戒めるお寺に、なぜ木で作ってあるとはいえ、魚が置いてあるんですか?」
木魚はもともと中国のお寺で、細長い木材を魚の形に彫り、それを打って人集めに使ったとされているのですが、さて、なぜ魚になったのでしょうか。それには、さまざまな理由が言われていますが、一説では、昔、大変怠け者の坊さんがいて、とうとう畜生道におちて魚になってしまいました。そこで、同じような道を歩むことのないようにと、修行中のお坊さんの戒めとして魚の形にしたというのです。また、魚は夜も昼も目を閉じません。それにちなんで、一時一時の修行をおろそかにしないという戒めの意味で木魚を打ち、修行者に励みを与えているとも言われています。いずれにしても、ポクポクという木魚の音とともに唱和されるお経を耳にすると、宗教的ムードが高まり、心さわやかになるものです。木魚のお話でした。
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