2月の法話集 ~眼を見つめて語る~
観音さまの前で小学生が話していました。
「仏さまの眼ってやさしいね。」
「じっと見てるね。」
「うん、ぼくをまっすぐ見ている。」
「何だか、ぼくのことを知ってるみたいだね。」
「ぼくも、まっすぐ見てみよう」
「うん、ぼくも!」
こういって二人の男の子はしばらく観音さまとニラメッコ。いやいやとてもかわいい情景でした。さて、男の子の会話のなかで耳に残ったのが、「ぼくをまっすぐ見ている」「ぼくもまっすぐ見てみよう」の言葉です。この子は、観音さまのまっすぐに見つめているまなざしに気づいたのです。ということは日ごろ、このような涼しい慈愛に満ちた眼、自分に向けられている まっすぐな眼を知らないのかもしれません。だからうれしくなって、ぼくもまっすぐ見てみようという思いが生まれたのだと思います。思えば私たちは、お互いに顔を合わせながら、"まっすぐ"に眼を見つめて対話しているでしょうか。相手がうれしくなるような、涼しい眼を向けて、相手の眼を見つめて、語り合っているでしょうか。あるとき、若いお母さんが、母乳が出ないのでミルクで育てますと申されましたから、
「ミルクでお育てになって結構ですよ。でも哺乳びんの与えっぱなしはやめてください。お母さんの胸にしっかり抱いて、赤ちゃんの眼を見つめてやさしく語りかけながらミルクを飲ませてください。まっすぐ眼を見つめてあげれば、赤ちゃんは安心しますから」
とお願いしたことがありましたが、"まっすぐに相手の眼を見つめて語る"ということを、大切にしたいですね。
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