2月の法話集 ~お釈迦さま最後のお弟子~


二月十五日は涅槃会会(ねはんえ)と申しまして、お釈迦さまのご命日です。お釈迦さまには多くのお弟子がありましたが、お釈迦さまのご臨終のとき、どれほどのお弟子がお別れに間に合ったのでしょうか。お釈迦さま最後のご説法をお聞きすることのできなかったお弟子や人々の多いなか、最後のお弟子として認められた幸運なお方もありました。スバッタというお方です。スバッタという修行者がクシナガラという町にやってきますと、お釈迦さまという尊いお方が間もなくお亡くなりになるとのことで、町は悲しみに包まれておりました。スバッタはどうしてもひと目お釈迦さまにお会いして教えをいただきたいことがありました。さっそくお釈迦さまがお休みになっている森へ駆けつけ、お弟子アーナンダさまにそのことを告げたのです。けれどアーナンダさまは、
「スバッタよ、それはなりません。お釈迦さまは大変疲れておいでなのです。どうかお釈迦さまを悩ませるようなことはしないでください。」
とスバッタの申し出をことわりました。スバッタは三度、心をこめてお願いしましたが、アーナンダさまの答えは変わりません。けれど二人のやりとりをお釈迦さまはお聞きになっていたのです。お釈迦さまはスバッタの願いを聞き届けて、長い間スバッタが問いつづけていた疑問に答え、正しい教えを示されたのです。そのうえ、これからはアーナンダの指導を得て修行に励み、仏の道に入りなさい、とお導きになり、すぐさまお釈迦さまのもとでの出家を許されたのでした。こうして修行者スバッタは、お釈迦さま最後のお弟子になられたのです。み仏の道を求める人あれば、いつ、なんどきにでも、み教えをお説きくださったお釈迦さまのみ心を涅槃会にしのびたいと思います。



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