3月の法話集 ~子供の進路を考える~


子供の将来のことは本人に選ばせるのが本当だ、という考え方が民主的だという話を聞きます。しかし、そうでしようか。長い人生という航海に出向するのに水先案内人はいらないでしょうか。そんなことはないでしょう。それでは親として不親切というものです。今度は逆に自分の職業の跡継ぎをさせたいのだが、子供に嫌がられて三拝九拝している親もいます。わが子に、小さいとき仕事のグチ話ばかり聞かせていると、決して跡継ぎになろうとはしないでょう。どうしても一流校に入れたくて、来る日も来る日もわが子の尻を叩いていませんか。あたかも一流校を出れば人生の幸せが約束されたかのように思い込んで。子供にとっては受験だけが目的で、それまでのつらい折角の努力に価値を置こうとしない、先ばかりみて今日を大事にしない生き方を強制されているのです。
人間の大きさをゴム風船に例えてみましょうか。ゴム風船には大きいのあり小さいのあり、赤いのあり黄色あり、さまざまです。人には生まれながらに持って いる器の大小があります。残念ながら誰もが大きい風船とは限りません。中くらいかもしれないし、もっと小さいかもしれない。みんな豊臣秀吉や西郷隆盛では ありません。しかし小さいからといって悲観なんかしてはいけません。最も大切なことは持って生まれた風船を十分にふくらますことです。小さな風船でも一杯にふくらん だらとても美しいでしょう。逆に大きくてもふにゃふにゃではいけません。器の大小に関係なく精一杯人間らしい生き方のできる人こそ幸福です。わが子を幼い時から真剣に見つめて来た親には、その子の大きさや適正がよくわかります。 世襲でもサラリーマンでもかまわないではありませんか、わが子が自分の適した道を、劣等感を持たずに、努力を怠らず、堂々と進めるように導いてやりましょう。これが子供の進路を考えるときの基本なのです。



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