4月の法話集 ~お釈迦さまの本名~


四月八日はお釈迦さまのお誕生日です。多くのお寺では、この日をお祝いして花まつり、つまりお釈迦さま誕生会が開かれますのでどうぞお参りください。
先日、こんな質問をいただきました。
「おしゃかさまというのは本名ですか?」
というのです。なるほど、私たちは慣れてしまって何ら疑いなく"おしゃかさま"とお呼びしていますが、さて本名なのでしょうか。実は大変むずかしい質問で、答えが出ないことをはじめに申し上げておきましょう。
まずおしゃかさまのシャカは、お釈迦さまがお生まれになった部族の名シャーキヤ族からきており、敬語の「お」をつけておシャカさまとお呼びしているので す。となると正確には本名ではありません。ただし釈迦牟尼(しゃかむに)とお呼びするときのムニというのは、普通"聖なる人"、聖者という意味で用いられ ていますから、シャカムニとお呼びするなら、釈迦族の聖者ということになり、お釈迦さま個人を指すことになりましょう。
ゴータマという呼び方がありますが、これまたお釈迦さま一族の名であり、下に悟った人という意味のブッダをつけてゴータマブッダとお呼びすると、ゴータマー族の悟りを開いた人ということになり、お釈迦さまを指すことになります。
さてお釈迦さまは、シャカ族の王子さまでしたから王子の名としてシッダルタというお名前がありました。これは"目的を果たした"という意味であり、日本 では悉達多太子(しつだつたたいし)とお呼びしています。実はこのお名前も古い仏典にはなく、後世の人がつけたとの説もあります。いずれにしましても、お 釈迦さま、ゴータマブッダ、シッダルタ太子、どのお名前も私たち仏教徒にとってその持つ意味に変わりはありません。どうぞ心からお慕いし敬って「お釈迦さま」とお呼びしてください。



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