4月の法話集 ~花咲爺さん~


最近、あまり子どもたちにもなじみがなくなりましたが、昔噺に「花咲爺さん」というのがあのますね。
「枯木に花を咲かせましょう」
「枯木に花を咲かせましょう」
春になって、木々の芽が吹き、やがて、花々が自然を彩るのをみていると、花咲爺さんが大忙しとばかり木から木へ飛んで歩いている気持ちさえします。花咲爺さんの噺は、日本の民話と思っている方もおられますが、実はインドから伝わった話なんです。
花咲爺さんとはお釈迦さまのことです。枯木とは、生きる力を失ったり、希望を失ったり、人としての道を踏みはずしてしまった人々のこと、つまり人間をさしているんです。花咲爺さんのまく灰は仏さまのみおしえのことです。
お釈迦さまは四十五年もの間、一枚の衣を身にまとい、み仏のおしえを説いて街から街へと歩かれました。人びとに出会うと、その人その人に合った話し方で、わかりやすく、おしえを説かれました。人としてこの世に生まれ、せっかく宿したみ仏の種を、養い育てて花を咲かせなさいと、お釈迦さまは文字どおり花咲爺さんとなって、歩かれたのでした。このことがインドの『ジャータカ物語』という中で語りつがれ、日本に伝わったのです。
花咲爺さんとはお釈迦さまのこと。四月八日、お釈迦さまの誕生日はもうすぐです。



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