4月の法話集 ~地獄の食堂、極楽の食堂~
地獄にも食堂がありましてね。ちょっと、閻魔大王にお願いして特別に見せていただいたのです。いやいや地獄というのに、テープルにはなかなかのご馳走が並んでいるのです。テープルについた人々はといえば何ともやせ衰え、ガリガリで眼ばかり光っています。しぱらくして鬼のボーイがやってきて、ナイフやフォークを配っていきま した。さあ、人々はいっせいにナイフとフォークを持って料理へと向かいましたが、いくらあせっても料理を口に入れることができません。なぜなら、ナイフも フォークも長さがニメートル近くあって、とても扱えないのです。もうテーブルの上はメチャメチャ。怒ったボーイがあっという間に片づけてしまいました。いささか地獄の人々に同情しましたから、閻魔大王に申しました。
「少しひどいじやないですか。あれでは食べられません。」
すると閻魔大王は、極楽の食堂へと案内してくださいました。こちらも一流ホテルなみの立派なテーブルにご馳走が並んでいます。人々は穏やかに語り合っています。そこへ例のニメートル近い長さのナイフとフオークが 現れました。さて、これではまた食べられないぞ、と見ていると何と極楽の人々はおいしそうに食べるではありませんか。なぜかというと、長いナイフで料理を 食べやすくしたあと、長いフオークで自分の向こうの席に座っている人に食べさせてあげているのです。お互いにやさしく、食べさせ合っているのです。地獄の 食堂と極楽の食堂の違いがはっきりわかりました。
これと同じ光景を、現実のこの世でもよく見かけます。さてあなたがいつも食事をする場所は、地獄ですか、極楽ですか。あなたはいつもどちらで食事をとっていますか。
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