5月の法話集 ~良寛さんになってください~
美しい五月。樹々の若葉が輝き、遠くの山々は春霞でボンヤリとして見えます。こんな歌を思い出しました。
かすみ立つ長き春日(はるび)に子どもらと 手まりつきつつこの日暮(ひくら)しつ
良寛さんの歌です。のどかですねえ。明るく暖かな春の陽を一日中浴びて、子どもたちと遊ぶ良寛さんの姿が目に浮かんできます。まりつき、かくれんぼ、お手玉……。子どもたちは良寛さんが大好き。良寛さんも子どもが大好きでした。
さていまの子どもたちは、春の一日をどのように過ごしているのでしょうか。明るく暖かな春の陽は降り注いでいても、子どもたちの姿は見えません。どこへ行ってしまったのでしょう。探してみると、みんな家のなかにいます。
"おーい何してるの?" "遊んでんでるよ" "何して?" ”テレビゲーム” ”君は?” ”遊んでる……” ”何して?” ”テレビ見てる” ”いい天気だよ” ”外で遊んだ ら?” ”だれも遊んでくれない” ”一人で遊んだら?” ”何していいかわかんない” ”友だち誘い合ったら” ”みんな塾に行ってるからいない” ” 君は塾へ行かないの” ”もうすぐ行くよ。夜十時ごろ帰ってくるんだ”
こんな現代っ子は何も都会ばかりにいるのではありません。日本の子どもたちは平均してテレビゲームっ子、塾通いっ子になったようです。良寛さんは、ただ子どもたちと遊んでいたのではなく、遊びを通して ”子ども時代に、人間が人間になるため経験しておくべきことを経験させた”のでした。
いま、私たち大人は ”みんなで伸ばそう人の子わが子”の精神で、”子ども時代に、人間が人間になるため経験しておくべきことを経験させる”良寛さんにならねばと思うのです。
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