5月の法話集 ~たべた食事が二万回~


あなたがいま二十歳だとします。目下青春のまっ盛りです。あなたは早いもので二十年間生きてきました。そしてこの間あなたが確実にしてきたことが一つあります。
それは間違いなく朝昼晩と三度の食事をとったということです。こうして今生きているのが何よりの証拠です。そうして、その回数が二万一千九百回になります。つまりこの二十年間にあなたは、ほぼ二万回以上の食事をしました。さて、これを誰が作ったのでしょう。
もちろん自分ではできないのだから、学校給食以外はお母さんに決まっています。お母さんは自分のためでなく、他人、わが子だって他人に違いないから、他の人のために二十年もの間二万回の献立を考え、調理したのです。
これは大したことだと思いませんか。しかもまだこれからも作ってくれるのです。すこやかであれ、明るい良い人になれ、という願いが日々三度の食事を作ってくれるのです。この愛の力がなかったら、とてもじゃないけれどできることではありません。出された料理を当たり前と思って口にしてきた自分。ときにはまずいと文句を言ったこともあった。しかし私たちは”おふくろの昧”を知っています。この昧がお母さんの愛の証です。
母の日と言えば、すぐにカーネーションや品物のプレゼント。じつに簡単。こんなにあっさり片づけていいものでしょうか。心からありがたいなあ、お母さんがいてくれて嬉しいなあ、と感じたら、素直に体中でありがとうと言ってあげよう。それがまず第一番にすることです。お母さんはその一言で普段の苦労が報われるのです。



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