5月の法話集 ~私はくずかご~


何気なしにポンポンとゴミくずを投げ入れている"くずかご"に口がきけたら、何ていうでしょうね、私たちの生活にとってなくてはならない"くずかご"。
現代の妙好人と多くの方から慕われる榎本栄一さんの詩にこんなのがあります。

くずかごさまは/なんでも受け入れてくださる かみくずも/ふと犯せし 私のあやまちも/だまって 摂取したもう

私たちがこの世で生きていくためには、さまざまな意味で"くずかご"がなくてはなりません。くずを出すことなく、きれいさっぱりばかりでは生きていけるわけがないのです。
不満を黙って聞いてくれる友だちは、その人にとってかけがえのない"くずかご"でしょう。いつ止まることもなくつづく悩みの打ち明け話をじっと聞き、ウンウンとうなずいてくださる年老いたお母さん。まさに"くずかごさま"と呼ぶにふさわしく思います。思えば、私たちは知らないうちに多くの"くずかごさま"のお世話になって生きているのですね。

ひとり静かに仏さまの前にすわり/心の内を申しあげる時
仏さまは 私たちの心の/くずかごになっていて下さる
そんな気がします。
ただ、自分のくずだけを投げ入れるのではなく、"私自身もくずかごになろう"という心を持ちたいものですね。あなたも身近な方々の"くずかご"になってみませんか。



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