5月の法話集 ~お釈迦さまも結婚軽験者~
若者たちがこんなことを語っていました。
「お釈迦さんは結婚してないよねえ。」
「うん、お釈迦さんほどえらい坊さんは、結婚はしてないと思うよ。」
さて、お釈迦さまは結婚経験者でしょうか。はい、お釈迦さまには奥さまもお子さんもありました。奥さまの名はヤショーダラといい、名誉をになう人、徳の高い人という意味を持つお名前でした。このお方はお釈迦さまのいとこに当たるお方で、ひかえめでつつましやかなお人がらであったと申します。お釈迦さまとヤショーダラ妃の間には男の子が一人、ラーフラと名づけられました。若いお釈迦さまは、美しいヤショーダラ妃とかわいい男の子ラーフラとともに平和な家庭生活を営まれていたのです。つまり、若者たちの想像に反して、偉大な宗教家のお釈迦さまも結婚経験者なのですね。
しかし、お釈迦さまは二十九歳のとき、この事せをすべて捨てて出家の道を歩み始められるのです。ヤショーダラ妃、ラーフラと別れて出家の道へ進まれたお釈迦さま・・・・・・。何がそうさせたのでしょうか。いまの言葉でいえば、〝離婚″をして出家されたのです。
お釈迦さまご出家の理由について詳しくお話しするのは後日に譲るとして、人間がこの世に生を受けて真実幸せに生き抜く道は何か、どう生きるべきかとの答えを求めてのご出家であったことに違いはありません。〝奥さんや子どもを捨てて、たとえお釈迦さんでもひどいじゃないか″との声が聞こえてきそうです。そうかもしれません。お釈迦さまもお苦しみであったことでしょう。
やがてお釈迦さまは多くのお弟子をお持ちになりますが、そのなかに喜んで出家したヤショーダラ妃とラーフラの名前がありました。
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