6月の法話集 ~がんばりましょう、ご同輩!~
六月に「父の日」というのがあります。
"というのが"などと突き放したような言い方をしましたが、どうも「父の日」はとってつけた感は否めません。「母の日」があるので、「父の日」もないと具合が悪い。そんな按配(あんばい)ですね。
実際、戦後の父親はどうも旗色が悪い。月給運搬人、働き蜂と悪口が多いようです。しかし一家を支えるお父さんは随分と大変なんです。現代ほど教育にお金がかかる時代はかつてありませんでしたし、家を買うのも何十年のローンに耐えなけ ればいけない。あれこれ際限もなく負担を背負い、現代の父親は「重き荷を背負い、急な坂道を行くが如し」が実感でしょう。
まあ、しかし、ものは考えようです。もし自分に、この金喰い虫の子どもが一人もなかったら、また、子どもら全員が一人前になって巣立ってしまったらどうでしょう。妻と二人だけの生活が足リればいい。物もお金もそんなにいらない。良寛和尚の「焚くほどは風がもてくる落葉かな」のくらしですむ。子どもがないのに財産残してもつまらない。貯金する張り合いもない。
そういったナイナイづくしとなりましょう。
やはり毎日のきついつらいことが、切ないと思う生活が、そのまま生きがいにつながっていることがわかります。子どもらが、家族が、生きる張り合いを与えてくれている。つまり家族によって生かされていることに気づきます。有り難いことです。
いや、かく言う私も目下その真っただ中にいるのです。がんばりましょう、ご同輩!
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