6月の法話集 ~お片づけのできる人間~
ある仏教幼稚園の園長さんに、「この幼稚園では、どんなことをお子さんに教えておられますか?」とおたずねすると、園長先生ははっきりとおっしゃいました。
「お片づけのできる人間を育てています。」
「なるほど、お片づけですか。たしかにいまの子どもたちは、何もかもやりっぱなしですね。」と申し上げたら、
「いいえ、大人もお片づけができていません。子どもを産みっぱなしです。」
いやいや、厳しいお言葉でした。
園長先生のご案内をいただいて園内を拝見しましたが、どの保育室も整備されています。
「みんな子どもたちがお片づけをきちんとするから、遊び道具もなくなりません。どんな物でも、使う前より使ったあとの方が美しいといわれるようにしておくことも、教えているのです。」
「お片づけのできる人間であれば、正しく人生を歩めます。どんな人とも仲よく生きていけます。お片づけとはけじめです。整理整頓をして、最良の結論、最高の成果を生み出すことです。しかし、お片づけは早くやればよいというものではないのです。順序と計画が必要なのです。ごらんなさい・・・・・。」
園長先生の指さされる方を見ると、かわいい男の子、女の子が、大きな体育用具を小さな物置きに入れようとしています。みんなで、どれから入れればきれいに残らず入るかを話し合っているのです。お片づけという言葉は、幼い子どもにしつけをするお母さんの言葉とばかり思っていましたが、私たち大人にも心に響く言葉ですね。日々の生活のなかにおいても、全人生においても、お片づけは大切な修行の一つです。よいことを教えていただきました。
6月の法話集一覧表へ戻る