7月の法話集 ~家族で、いただきます、ごちそうさま~
夏休みになるとお坊さまたちが、青少年のための研修会や修行道場を計画して、多くのお子さんたちを指導されます。その多くは、大きなお寺や山奥の修行道場で行われますから、はじめはこわがったり泣いたりするお子さんもいますが、二日間もするとすっかりなじんで、朗々とお経を読んでいるお子さんも少なくありません。
一番苦しいのは、食事のときの正座のようです。一般の家庭ではテーブルでの食事が多く、学校の給食は机ですから、正座はとてもつらそうです。それに作法 があります。ただ一心に食べることに専念すればよいのに、日ごろ、テレビを見ながら食べているお子さんにとってはそれができないのですね。よくいまの子は "ながら族"などといわれますが、テレビを見ながら食べる子は、一心に食べることができなくなっているようです。
ところが、そんなお子さんが慣れてくると、ちゃんと作法通りにやり、ご飯つぶ一つ残さずきれいに食べ終わって、「ごちそうさま」と手を合わせていうことができる。ほんとうにやればできるんですね。指導をされるお坊さんたちは、ギュウギュウと押しつけるようなことはされません。できないからといって叱りつけることもありません。"やろうと思えばだれでもできるんだな。ボクだって、私だってできるんだな"という気持ちが芽生えてくれるのを待っています。
さて、もしお子さんが研修会から帰ってきて、手を合わせて「いただきます、ごちそうさま」といったら、ご家族の方も一緒に合わせてあげていただきたいのです。身につけて帰ってきたことが家族に喜ばれたとすれば、どれほどうれしいことでしょう。
夏休みは、家庭とお子さんの結びつきが深まる大切な時期ですね。
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