8月の法話集 ~無縁仏のご供養~


今年もお盆がまいりました。 私たち日本人の祖先が残してくださったゆかしい行事をどうぞ心をこめておつとめください。
さて私たちは、つながりの深い菩提寺へお参りしたり、わが家のお墓へお参りして、ご先祖や身近に亡くなった方のご供養をさせていただくわけですが、ときおり”無縁仏”といわれる、もうどなたもご供養する方のおられないお墓のあることに気づきます。
長い間、雨風にさらされ、こけむして茂る草花の中で、眠るように小さな石のお墓が身を寄せ合っていることもあります。こんなお墓を昔から”無縁仏”と呼んでいますが、もし無縁仏らしいお墓をごらんになったら、ぜひご供養なさってあげてください。雑草を払い、お花、お 水、お線香を差し上げてください。 そこに眠られる方は、むろんどんな方々か知るよしもありませんが、仏さまになられたことには違いありません。どうぞ あなたのご先祖さまと同じように、心をこめて無縁となられた仏さまのご供養をなさっていただきたいと存じます。どれほどか、お喜びになることでしょう。
無縁とは申しますが、たまたま短い間の親族がはっきりしないという程度であって、ほんとうは私たちと結ばれている有縁の方々なのですね。 私たちが、一 人一人自分の歴史をさかのぼってまいりますと、そこはもうだれも彼も親族になってしまいます。 ですから”無縁”などというものはなく、ご先祖ならばどな たであれ、私にとって有縁の方なのです。
さて、生きている私たちも「あの人とは縁切りだ」とか「縁がなかったからあきらめようよ」などといいますが、それは一時の現象であって、仏様の眼から見れば、みんなだれも彼も深い縁でつながっているのです。 ご縁を大切にするお盆にしてください。



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