8月の法話集 ~桃太郎の鬼退治は正しいか~


みずみずしい大きな桃を遊びに来た子どもたちといただいていると、だれかが歌いました。

桃太郎さん桃太郎さん お腰につけたきびだんご 1つ私にくださいな

ひとしきり歌っていましたが、小学校五年生になるK君がポツリといいました。
「桃太郎は、なぜ鬼退治に行ったのかなあ。鬼は何も悪いことしてないよ。鬼がやってきて村人をいじめたとか、何か盗んでいったとか、そんな話、出てこないしねえ。」
「ふうん、そういわれてみるとそうだね。鬼、鬼っていうけれど、お話の中では悪いことしてないねえ。それなのに桃太郎は、なぜ鬼退治をして宝物まで持って帰ってくるのかなあ。」
K君が投げかけた疑問について、いっとき子どもたちは語り合ったのでした。いつとはなしに桃太郎は、鬼退治を行った英雄として昔から語り継がれているのですが、たしかにK君が投げかけた質問は大変鋭い、考えてみる価値があると思います。 子どもたちは、とてもよいところへ話し合いを進めていったようです。
「ほんとうに鬼は悪いことをしたのだろうか。」
「鬼という名前を聞くと、ぼくたちもすぐに悪い奴、人間をいじめる奴と思うけれど、ほんとうに鬼って悪い奴かなあ・・・。」
「そういうことってあるよね。学校でもあいつはいじ悪だとだれかがいったらみんなに伝って、ほんとうはいじ悪じゃなくても、いじ悪にしちゃうってこと。」
彼らは大切なことを話しています。私たち大人社会においても、他人に対してさまざまな見方をいたします。その人のほんとうの姿をみつめることなく、 あれこれうわさもいたします。気をつけねばなりません。夏休みのひととき、あなたのご家庭でも桃太郎の話題、話し合ってみてください。



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