8月の法話集 ~同行二人遍路道~


四国八十ハヵ所の札所をめぐるお遍路さんの鈴の音。この鈴の音が聞こえると、四国の人々は、
「あっ、お遍路さんが来た。」
と、お菓子やお茶を用意して街角に出ます。
お遍路さん、ご接待させていただきます。お茶を飲んでください。」
四国の人々はお遍路さんのことを"お大師さま"とも思っていますから、お遍路さんをとても大切に迎えるのです。お遍路さまは黙々と歩きます。ひとりで歩きます。ひとりで歩いているけれど、笠や杖などに同行二人と書いてあります。同じ道を二人で行く。いったい淮と二人なのでしょうか。
夏。お遍路さんがお寺でお経を読んでいると、いつしか多くの蝉かシャンシャンシャンシャンと唱和しています。お遍路さんの声ともう一つの声。遍路道を歩きながらご詠歌をおとなえすれば鳥が鳴きます。ホウーホウーホウー。お遍路さんの声ともう一つの声。お遍路さんの声と自然の声がーつにとけあう世界。
人間と自然がとけあった姿。自然とは生きとし生けるものすべてであり、その中に生かされている人間がそこにとけあうわけですから、すべてのわけへだてはありません。こんな情景を人々はお浄土とよんだり、仏さまの世界とよんだり、同行二人とよんだりして来たのではないでしょうか。
あなたも一度、同行二人で遍路道を歩いてみませんか。



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