8月の法話集 ~いっぴきのコオロギでも~
夏休みも終わりに近づき、子どもたちは、宿題の仕上げに大わらわのようです。
昆虫採集などが話題になる季節ですが、虫を取ることにことだけに夢中になり、育てるとか、標本にし役立たせるとかができない子どもが多いようですね。
そういえば、チョウチョが死んだまま捨てられている虫カゴを見かけます。夏の草原でチョウチョを追いかけたことなど、もうすっかり忘れているのでしょう。小さな虫の命のことなんて、心にとめることさえしないのでしょう。
小さな虫の命といえば、仏教詩人・坂村真民さんの詩のの一節が思い出されます。
二度とない人生だから
一匹のこおろぎでも
ふみころさないように
こころしてゆこう どんなにか
よろこぶことだろう
一匹のこおろぎの命をたいせつにする詩人の深い愛を、私たちも持ちたいものです。
小林一茶の句です。
ねがえりをするぞ そこのけ キリギリス
お釈迦様は、生きとし生けるものすべての命の尊さを説かれました。特に私たちアジア人の多くは農耕民族で、常に自然と共同生活をしてきたからこそ、われら人間も生かされてきたのですね。
このことを思うとき、"一匹のこおろぎでも踏み殺さないように心してゆこう"の一句が、とても重く感じてなりません。
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