9月の法話集 ~真のよりどころとなる信仰~
日本に長く住んでいたドイツ人が、母国へ帰って友人にこんなことを話したそうです。
「私が長く日本に住んでいて、どうしても理解できなかったことがあります。それは、宗教のことです。日本人はお正月になると神社へお参りします。お寺にも 行きます。お葬式は多くの人が仏教で行います。ところが結婚式をキリスト教でやる人がたくさんいます。なぜ一人の人が異なった宗教を持つことが出来るので しょうか。ほんとうによりどころとなる信仰を持っているのでしょうか。とうとうわからずに帰ってきましたよ。」
私たち日本人は、知らず知らず神社へ行ったりお寺へ行ったりしていますが、いわれてみれば、このドイツ人のいう通りですね。
実は真によりどころとなる宗教を持っているかという問いは、大変重要な問いかけなのですね。ちなみに、あなたは自分の宗教は何々であるとはっきり答えられますか。多くの日本人は「無宗教です」と答えるそうです。これでは困ります。
私たち人間がこの世に生を受けて、人間らしく生き抜き死んでいくためには、その人の人生航路をつねに指し示す羅針盤が必要です。つまり”どう生きるか” ということです。このことが一番はっきりするのは、大きな悩みや逆運、そして死に直面した時です。お釈迦さまは、真のよりどころとなる信仰を持ちなさいと 次のように教えてくださいました。
おのれこそ おのれのよるべ/おのれを措きて 誰によるべぞ
よくととのえし おのれにこそ/まことえがたき よるべぞ得ん
”よくととのえし”とは、真のよりどころとなる信仰を持つあなたのことです。
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