9月の法話集 ~まん中の道~


 一年を通じて仏教行事は数多くありますが、その多くが一年に一回だけなのにお彼岸だけは春と秋の二回あります。春の彼岸は三月十八日から二十四日まで、秋の彼岸は九月二十日、または二十一日から二十六日、または二十七日までで、それぞれ一週間です。その七日間のまん中の日を「お中日」といいますね。春は「春分の日」、秋は「秋分の日」というのです。  さて春と秋も、お彼岸のころは暑くもない寒くもない、ちょうどよい気候になります。思えばお釈迦様は、いつでもどこでもだれにでも"片寄らない心を持ちなさい" "右にも左にも片寄らない、まん中の正しい道を進みなさい"とお説きになりました。まるで、お彼岸のころの気候のようにほどよい心のあり方、進むべき道を説かれたわけで、このみ教えを実行するにふさわしい季節の七日間が、お彼岸として定められたに違いありません。

 

 彼岸とは彼の岸と書きます。向こう岸です。向こう岸とはみ仏の世界です。極楽浄土の地です。そこへ私たちは手を取り合って譲らねばなりません。いまいるのは此岸、こちらの岸です。向こう岸、つまり彼岸へ渡るためには正しい目標とその実践を行わねばなりません。次に掲げます六つの願いは、財団法人全国青少年教化協議会が提唱している実践項目です。どうぞ味わってみてください。

 

・底ぬけに人を信ずる人間となろう

・よろこんで与える人間となろう

・いのちを大切にする人間となろう

・考え深い人間となろう

・使命に生きる人間となろう

・規律あるしあわせをよろこぶ人間となろう

 

彼岸から彼岸へ渡していただく舟や船頭さんこそ、この六つの願いにほかなりません。



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