11月の法話集 ~お釈迦さまの三つの質問~


お釈迦さまにもくせがありました。それは遠いところからお釈迦さまに会いに来たお弟子や信者の人々に、必ず三つの質問をなさったことです。
まず第一問、「旅の途中に何か事故はなかったか」
第二問、「食べ物に困らなかったか」
第三問、「ともに旅をしてきた仲間はみんな変わりはないか」
この心やさしい三つの質問でした。
あるとき、何十人ものお弟子が訪ねてくるとさっそく質問がありました。すると、その代表者がおそるおそる申しました。
「実は仲間の一人が重い病気で・・・。」
「その病人はどうしたのじゃ。」
「置いてまいりました。」
「ではだれが看病をしているのだ・・・。」
お釈迦さまの矢継ぎ早の質問に弟子が答えました。
「だれもがお釈迦さまにお会いしたいと申しまして、病人を一人置いてきました。」
この言葉にお釈迦さまのお顔が曇り、やがて申されました。
「遠くから私に会いに来てくれたことはうれしい。けれど病人を残して会いに来てくれても私はうれしくはない。それは私の気持ちに背くものだ。もし、その病人を看病してくれるなら、その人こそ私に会いに来てくれた人である・・・。」
お釈迦さまは、不幸な病人を打ち捨てて自分に会いに来て何になろう。黙って病人の世話をなぜしてくれない。それは仏のおしえではないと嘆かれたのでした。
まごころとは何かを教えられたお話です。



11月の法話集一覧表へ戻る