11月の法話集 ~着飾った仏さまたち~


若い女性からこんな質問をいただきました。
「仏さまはとてもおしゃれですね。冠をかぶったり首飾りをつけたり、イヤリングをしている仏さまもありますよ。ぜいたくをいましめている仏教で、なぜ仏さまはおしゃれをしているのですか・・・。」
なるほど、その通りですね。多くの仏さまの中には、胸飾りや腕輪、首飾り、耳飾りをつけて着飾っているお方がおいでです。このおしゃれな仏さまのモデルは、実はお釈迦さまがまだ出家される前、カピラ城の王子さまのころのお姿なのです。
お釈迦さまが王子であったころのお姿が、なぜ仏さまのモデルになっているのでしょう。二つのことがいわれています。
美しく首飾っておられる仏さまはほとんど菩薩さま、すなわち観音菩薩、弥勒菩薩などです。菩薩様は悟りを求めてご修行をなさっていますが、それと同時に 悩み苦しむ人々を一人残らずお救いくださるという願いと誓いを持っておられ、悟りを開くのはそのあとだとのお考えなのです。つまりまだお悟りを開かれてお りません。そのことを表現するために、お悟りを開かれていないご出家以前のお釈迦さまをモデルにして、象徴的に菩薩さまのお姿にしたといわれます。
また菩薩さまは仏教でいう慈悲の悲、つまり人々の悲しみをわが悲しみとして受けとめて救いの手を差し伸べてくださる仏さまですから、お顔に少し憂いがあ ります。それは子を思うお母さんの顔であり、できるだけやさしいお姿に、美しいお姿にと表現していくと、これほどに着飾った優美な仏さま象になったといわ れています。
どうぞ、仏さまをモデルにして身も心も美しい女性になってください。



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