11月の法話集 ~日本人、よい人ばかり~
ヨーロッパからやってきた若者を連れて日本を旅行したのですが、私たち日本人にとって当たり前のことが、彼らにとっては信じられないことばかりのようでした。
東北新幹線に乗りました。座席の上の棚に荷物を置いて座ったのですが、B君がどうも落ち着きません。たずねると、荷物のことが心配でたまらないとのこ と、だれかにとられてしまうのではといいます。「日本ではとられる心配はない」といっても信じません。昼食時間になったので、食堂車へ行くことにしまし た。荷物はこのままでよいと申しましたところ、彼ら全員がノーといいます。こんな大きな荷物、だれもとりはしないからといってもだれも信じないので、とう とうお弁当を買って座席で荷物の番をしながらの昼食になりました。彼らの名誉のため国の名は申しませんが、彼らの国では、ちょっとの隙に何でも盗まれてし まうそうです。棚に荷物を置いて、週刊誌を読みふけっているなど、信じられないことだといいます。
地下鉄に一緒に乗ったときも、彼らはほんとうにびっくりしたようです。K君が質問してきました。
「あの棚にカバンや手さげ袋がたくさん置いてあるけれど、盗まれないのか!!日本人は心配はしないのか?」
質問されたこちらがとまどいました。
「全く盗まれないことはないが、忘れものだったら駅員さんに頼んでおくと次か次の駅で探して届けてくれるよ。一億円拾っても、日本人はちゃんと届けるもの。」
こういいますと、彼らは口をそろえていいました。「オオー、日本人、よい人ばかり。」
彼らの国がどのようなところか知りませんが、とにかくすぐに盗まれたりとられたりするらしく、荷物には大きなカギをかけて、四六時中見張っているそうです。ほんとうに気の毒になりました。 "日本人、よい人ばかり"で幸せですね。
11月の法話集一覧表へ戻る