12月の法話集 ~スジャータの供養~


企業の宣伝をするわけではありませんが、”スジャータ”という小さなパック入りのミルクが販売されていますね。コーヒー等に入れる小さな容器に入っているあれです。この”スジャータ”という名前。じつは、お釈迦さまとたいへん深い関係があるんです。
お釈迦さまが、多くの人々の生きる教え、本当に救われる道を求めて修行に入られたのは二十九歳のときのこと。そしてお悟りを開かれた三十五歳までの六年間、それはすさまじい修行をなさったのでした。他の人々が”彼ほど厳しく苦しい修行をしたものは、いまだかつていない”と畏れ敬まったぐらいです。
しかし、やがてお釈迦さまはその苦しい修行をきっぱりとやめられます。いくら肉体を痛めて苦しい修行をしても”悟り”は開かれないと気づかれたからでした。じつは、お悟りを開かれた後にお釈迦さまと申し上げるのが正しいのであって、この時は、シッダルタという生まれながらのお名前がふさわしいようです。
さて、シッダルタは疲れていました。体はまるで枯木のようであったといいます。苦しい修行をやめたシッダルタはナイランジャナー川に入り水浴し、六年間のすべてを洗い流し、体を清めます。
その時、美しい村の娘が近づいて、「お坊さま、どうぞ、おめし上がりください」と乳粥をさし出します。それはシッダルタがお釈迦さまとなられるあの偉大な供養の乳粥になったのです。この娘の名こそ、”スジャータ”なのです。
スジャータのささげた乳粥によって体力を回復したシッダルタは、それから八日日の明け方大いなる悟りを得られ、お釈迦さまとなられたのでした。



12月の法話集一覧表へ戻る