12月の法話集 ~家の中も心の中も大掃除~


いよいよ今年ともお別れですね。うれしいことも、悲しいことも、楽しいことも、苦しいこともあったでしょう。けれども、除夜の鐘といっしょに、みんな過ぎ去っていくのです。
除夜の鐘はいくつ撞くか知っておいでですか。百人つ撞くのです。それは、人間には、きたない心が百八つもあるのです。それは、欲深い貪欲な心、いかり憎む心、いじわるな心、言うことをきかないわからずやの心、人を蔑むうぬぼれの心、神さま仏さまを信じないで疑っている心、自分の立場だけを押し通す強情な心、と数えていくと百八つもあるのです。
そういう、いやな心は全部すてて、浄いきれいな心で新年を迎えたいと祈って、家中をお掃除をし、除夜の鐘を撞くのです。
お釈迦さまの十大弟子の中に 「パンタカ」という偉い和尚さまがいらっしやいます。ところが、パンタカさまは、もの覚えが悪く、長いお経が覚えられずに因っていました。お釈迦さまは、「お経が覚えられなくてもよいから、お寺のお掃除をしなさい」とパンタカさまに、塵払いと箒をくださいました。パンタカさまは、それから毎日、朝早くから、日の暮れるまでお掃除をしました。
何年も過ぎたある日、パンタカさまは、お釈迦さまに、心の塵を払い、心の芥を掃くのがお釈迦さまの教えですか」と質問すると、お釈迦さまは、「そのとおりです。よく分かってくれました」と、パンタカさまをほめて、お弟子の一人とされました。
さあ、この年の暮れに、家の中も、心の中も、大掃除をし、よごれた心は除夜の鐘と共に掃き去って、清らかな仏さまの心で、よき新年を迎えようではありませんか。



12月の法話集一覧表へ戻る