12月の法話集 ~仏教の出発点~
十二月八日は成道会(じょうどうえ)といって、お釈迦さまがお悟りを聞かれた記念日なのです。
お釈迦さまがシッダルタ太子と申されていたころ、つまりまだお悟りを聞いておられないときのことです。苦行林に入って六年もの間、苦しい修行をつづけて おられたのですが、体を痛めつけるばかりの修行をいくらしても心の平安は得られないと気づかれて、苦しい修行をやめてしまわれます。
長い間についた体の汚れを川の水で洗い流し、村の少女から供養された乳粥を食べて元気を回復されたシッダルタ太子は、農夫のささげた草を敷き、菩提樹の 木の下で坐禅に入られます。このときシッダルタ太子は"自分は悟りを聞くまでは、死んでも決してこの座を立たない"と強い決心をされたのでした。七日間坐禅だけで通されたシッダルタ太子の心には、悪魔の誘惑やさまざまな葛藤があったといい伝えられています。
そして八日目の早朝、東の空が白むころ、シッダルタ太子は世界・人生の真理を悟って、絶対に動くことのない一大確信を得られたのです。これがお釈迦さま のお悟りであり、シッダルタ太子が仏陀、すなわちお釈迦さまとなられた瞬間であり、そしておおいなる仏教の出発点なのです。ときにお釈迦さま三十五歳のことでした。
十二月八日こそ、仏教の出発点なのです。お悟りになった場所はマガダ国ガヤー城の付近でしたが、のちにお釈迦さまのお名前をつけてブッダガヤーと呼ばれ るようになりました。坐禅をつづけられていた場所の樹は、本来ピッバラ樹というのですが、のちに悟りの樹という意味で菩提樹(ぼだいじゅ)といわれるよう になりました。
十二月八日のお悟りがあればこそ、私たちはみ仏のみ教えに生きることができるのです。
仏教の出発点、成道会をお祝いしましょう。
12月の法話集一覧表へ戻る