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夢を大事に人づくりを  国際交流の勧め


清水誠勝



 私自身の体験はまだ六年ぐらいにしかならないが、二十一世紀に向けて、希望と夢を与え、活力を生むのは国際交流だろうと思っている。イギリスを中心にアメ リカ、タイなどでホームステイを体験、ダンスや歌で交流を深めているうちに感じたことは「みんな同じ人間だ」であり、「知らずにいた多くのことを知り、心 が一つになっていく」思いを強くした。 
私たちの活動とは別に、山田町でも、ふるさと創生資金の利子を海外研修事業に充て、イギリス、ベルギー、オランダに町民を派遣、オランダのザイスト市に中学生を派遣するなど少しずつ成果を上げている。
「世界の中の山田、山田の中の世界」をモットーに、行政やさまざまな団体が試みている国際化教育の実践を見た場合、次のような問題点を指摘したい。 
 「国際理解のある町づくり」は、一に「住民の関心の度合い」が問題にある。一方で、行政側には「町づくりは、人づくり。人づくりは教育」という「心優先」の方針に基づいて、強いリーダーシップを発揮しうるか、が課題となろう。
学んだことを生かせる場があるか。英会話も、知識の量を増やすことだけが「学ぶ喜び」ではない。外国人と実際に会話できる機会があるか、そうした機会をたえず探しているか、が重要である。
 次に、行政や民間団体は、別個に講座やイベントを企画、開催することで満足していないか。「点」で活動するのではなく、「点」と「点」をつないで「線」 にしなけれは効果は上がらない。「線」になれば、単独では収集できない情報が集まり、互いの活動を活発化するノウハウの交換も容易になる。 「線」を結ん で「面」にしておくと、単に二つの団体、組織の相互交流にとどまらず、三つ以上の団体、組織が連携して、英会話や適訳ボランティア養成講座など幅広いプロ グラムの展開も可能になる。 
国際化の体制作りと実践には、過去の経験が役に立たないことが多い。過去にとらわれず、いろんな立場の人のアイデアを出し合いながら、まったく新しい物を 作り上げていこうという姿勢も問われる。同時に、各自の文化に固執しないで、自身も変わっていくチャンスなのだ、と考えなければいけない。
 今すぐできることとしては、私たちが四年前につくった「YAMADA TOWN」のような海外からの訪問者と受け入れる側の双方に役立つ英文のガイド ブックを用意することを勧める。これまで外国人と直接ふれあうことがなかった人にも交流参加のきっかけを提供できる。講演やイベントに必要な通訳、ホーム ステイを受け入れられる地域の人材バンクをつくることも必要だ。
 いま、夢を持ちにくい時代ではあるが、だからこそ、夢を大事にして個性ある「人づくり、町づくり」を考えるべきだ。一人ひとりが「草の根運動」の主役になれるかどうか、が国際交流実現のカギになる。
  
(山田町国際交流協会会長)

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