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子育ての過程を対象にする介入


 子育てと青少年の攻撃(暴力)的な行為の相互的な影響に関する最も説得力のあるデータは、家庭における威圧的なサイクルに関するパターソンの研究に見られる。この研究では、威圧的な親子のふれあいは激化するとともにそのサイクルは強化されながら維持され、その激化や強化も時間とともに強くなる傾向にあると指摘していることから、その最も明らかな影響は初期の介入に及ぶ。ここで言う初期の介入とは、幼い子どもとその家族を対象にしたものに言及するものであり、第2に、威圧的なサイクルを防止あるいは阻止に言及するものである。
第1の介入の場合、子どもの暴力は思春期のはじめに具体化されるので、したがって介入を素直に受け入れてもらうには、少しでも子どもが小さなうちから問題処理に当たることだ、と長期研究による結果は指摘している。第2の介入の場合は、その暴力のきっかけになったものを突き止め、威圧的なサイクルを予防し、中断できる方策を実行することを家族メンバーと青少年に教えることによって暴力の激化を遮ることができる。このサイクルを終わりにするため、怒りをうまく処理するような介入を行えば、他の家族メンバーの介入を増大させることがある。たとえば、スーザン・スターンは、青少年の子どもを持つ家庭に対するコミュニケーションと問題解決のトレーニングに加えて怒りをうまく処理する介入を実施すると、コミュニケーション力のトレーニングだけの実施に比べて、議論の激しさや協調性に欠けたコミュニケーションが軽減されることを発見した[119]。
親に及ぼす青少年の行動の影響に関して、これが反社会的行為に対する親のマネジメントの強化に向けたトリートメントへの親の参加と継続にたとえ影響を及ぼしても、これを替わりの者が受け入れることもできる。反社会的行為が親や他の家族メンバーに混乱を起こすような影響をごまかさずに認めることは、ソーシャルワーカーが親の体験を矛盾なく受け入れながらこれに対応するのに役立つ。非行少年を抱える家族に対する介入はしばしば親の行動の変化に焦点を当てるが、親にしてみれば、援助してくれる専門家はこれまでの問題のことで自分たちを責めているのではないかと感じることも珍しくはない。自分が間違ったことをしたと、親が既に抱えている悩みを募らせるのと同じく、このこともまた、親たちを怒らせ、疎外する。さらに、子どもの非行の結果として介入プログラムに参加している家族は、少年司法制度の命令によって参加していることも少なくない。子どもの行為によるこうした結果は親の不面目や憤慨をあおり立てることもあるので、親の介入者に対する嫌悪が克服され、有効なパートナーシップが結べるような取り組みがなされるべきである[120]。たとえば、ハワード・リドルは、親と関わる際には、親の話を聞き、親の感情には広く敏感になることが重要で、ときには、他の介入に優先させることも必要だと強調する[121]。危機に対する介入の戦略により両親を支援することで、子どもの極端な行動に対して親が心の準備をするのを手助けできるとともに、また、ソーシャルワーカーがことの深刻さや子どもの行動による潜在的な危険を認識していることを証明することにもなるのである。
子どもの非行が親に及ぼすもう一つの影響は、親の疲労や気の滅入り、落胆である。親に好感を持ってもらえるようにすれば、彼らのそうした感情を和らげ、その家族への援助のプロセスに対する親のコミットメントを強くさせることができるかもしれない。感情に関するさらなる支援は、近親者を含む家族メンバーや似たような境遇にある他の親から得られることもある[122]。具体的な支援サービスは、家族保護プログラムから休息期間の提供までと幅広い。休息期間の提供もまた、親自身が自分の時間を持つというものから、子どもを一時的に施設に収容させるもの、あるいは、子どもの行動が極度のもので家族も精神的に参っている場合などには、さらに集中的な療法を行う保護養育プログラムまで幅広くある。
  



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