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Delinquency and Antisocial Behavior:
A Review of Family Process and Intervention Research


未成年の非行と反社会的行為:
家族の育成過程と介入の調査研究に関する一論評

キャロライン・A・スミス(Carolyn A. Smith)
ニューヨーク州立大学アルバニー校

スーザン・B・スターン(Susan B. Stern)
ボストン大学


 複雑な測定方法や分析手段を活用した最近の長期調査研究は、家族生活と(未成年/青少年の)非行のあいだの関係に関する、新たな、より複雑な概念化を生み出しており、その概念化された概念がすべて、未成年の非行犯罪者とその家族に対する介入に重要な影響を及ぼしている。この批判的論評では、家族の役割および、未成年の非行犯罪者に対する家族主体の介入へのその影響、そして、現行の対処の成果研究に関する現在の調査研究を扱うが、特に次の4つの領域を強調する。つまり、異なる家族の育成過程と非行犯罪との関連、子育てと非行の相互関係、家族状況が子育てと非行に与える影響、そして、数ある原因の中でも非行の一原因としての家族である。

 未成年者の非行は、今日において最も差し迫った社会問題の一つであり、なかでも、その増加する件数および深刻さの観点から問題視されている。非行行為は、若者たちやその家族はもちろん、被害者や概して社会にまで深い負の影響を与える。常習的な非行はしばしば、薬物の使用やギャングのような活動、学校を退学するといった、若者たちの生活における崩壊を伴う。さらには、こうした一連の行為は、責任ある生産的な成人期へと至る、通常の生活移行ができないという事態にもつながるのである。
 子どもと若者の発達において最も重要なシステムの一つは、家族である。家族は、非行に対して最前線で防衛するものと考えられている[1]。残念ながら、最近の調査研究は、家族と非行を関連づける仕組みに関するわれわれの理解をかなり向上させているけれども、社会事業(ソーシャルワーク)のナレッジベースになるまでには進んでいない[2]。実際に、1980年から1994年までの『社会事業(ソーシャルワーク)の調査研究と概要(Social Work Research and Abstrusts)』における掲載リストの内容を分析した際には、社会事業(ソーシャルワーク)に関するジャーナル誌において少年司法(juvenile justice)に触れた論考は非常に少なく、リチャード・ステファンは自身の批評を「干し草の山の中の針(Needle in the Haystack)」と題したほどである[3]。特に重要なのは、実践に関する調査研究が欠如している点であった。その結果生じることの一つは、調査研究のナレッジベースに対するプログラムとサービスの関連性が不確実になることである。この重要な点に取り組むために、われわれは、非行と反社会的行為パターンの展開における家族の影響を評価する、現行の経験的な調査研究を吟味するとともに、これに関連する家族主体の介入について考察する。
 



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