非 行
非行とは、万引きや薬物の販売、公共物の破壊(ヴァンダリズム)など、法に反して若者たちが行う広範な行為を表わす法律上の概念である。非行はまた、犯罪の状態、すなわち、家出や学校の無断欠席などの若者だけを対象にした規則に違反する行為も含んでいる。同様の行為は、精神病理学においては反社会的な行為として次のように述べられている。「通常は攻撃(暴力)によって示されるが、社会規範に対する違犯に相当する範囲の行為」[4]。反社会的行為に関する法的な定義と精神病理学による定義との違いは明白ではなく、精神医学によるいくつかの診断、なかでも行為障害と非行のあいだにはかなり重複するところが見られる[5]。ここで問題とされる行為の多くは似通っているので、われわれは、非行と反社会的行為の双方の展開に関する調査研究を考察していく。さらに、多くの反社会的、非行行為の一つ一つはかなり共通しているために、その行動パターンの徴候に焦点を当てる。非行は法律上の概念であるが、非行の原因に関して現在行われている研究の多くは、公的な非行よりもむしろ自己申告による非行を重視している。なぜなら、非行の原因の影響に関する広範な情報は、介入を通じて広く当事者に関わっていくなかで入手されるからである[6]。特にわれわれは、多くのデータセットを利用し、貧困、ジェンダー、人種といった関連する変数に関する対照(実験)を活用する傾向があることを理由として、こうした、より最近に行われた研究を利用することにする。
Delinquency and Antisocial (日本語訳)目次に戻る | 次のページへ進む |